デート
居残りの補習がようやく終わった頃には
外はもう陽が落ちる寸前で
いつの間にか覆い始めた厚い雲が
足早に流れてく。
人影のない校庭はガランとして
余計に寒さを募らせる。
「ふぅ、遅くなっちゃったな。」
ツナは背中を丸め、小走りに校門へと向かった。
もう皆、晩御飯を食べてる頃かな。
食卓を囲んでおかずを取り合う
ランボーとイーピンの姿が目に浮かぶ。
そんな二人に目もくれることなく
リボーンは黙々と食べてるんだろうな。
京子ちゃんも、お兄さんと一緒にご飯食べるんだろうか…
山本はお店の手伝いだな、きっと。
獄寺君は…
「10代目ッ!」
門の影から何かが飛び出してきた。
「ひっ!獄寺君!!」
「何をそんなに驚いてるんです?」
「…ちょ、ちょうど、獄寺君の事を考えてたから…」
「マジッすか?10代目!嬉いッス!
オレもいつも10代目のこと…クシュンッ!!」
獄寺が大きなくしゃみをした。
「もしかして、ずっとここで待っててくれてたの?」
「いや〜、たまたま通りかかっただけですよ。」
鼻の頭を真っ赤にして、少しなみだ目の獄寺は
嘘が下手だ。
「獄寺君…」
「待ってませんって。ほら、帰りましょう。風邪引きますよ。」
鼻をすすりながら歩き出す獄寺の足取りは
油を差していないロボットのようで
待っていた時間の長さを物語っていた。
―何かあったまる物…
ツナはゴソゴソと自分のポケットを探る。
昨日つっこんだまま、硬くなったカイロは
もう使い物にならないし…
…あったまる…唐辛子?!
学食の、七味を拝借しておけばよかった…
鞄には…
今度は鞄をまさぐって、良い物が手に触れた。
今朝の母とのやり取りを思い出す。
「ツナ、これ持って行きなさい。」
見ると派手な毛糸の固まり。
「何?コレ。」
言いながら端をつまむと、それは必要以上に長く
想像を遥かに超えた配色のマフラーだった。
「この間、お掃除してて見つけた余った毛糸、
全部使ってみたの。あったかいわよ〜。」
「い…いいよ。」
「ダメよ、今夜から冷えるんだから。」
そういって無理やり鞄に押し込まれたのだった。
「獄寺君、コレ、良かったら使って!」
ツナは迷い無く、そのマフラーを獄寺に差し出した。
「とわっ!」
あまりの激しい色使いに獄寺も一瞬後ずさりをする。
「獄寺君が風邪引いたら、オレ困るもの。」
自分のせいで風邪を引かせたなんて知れたら、
ビアンキに殺されかねない。
マフラーだって、困ってる人にあげたって言えば
ママだって怒らないだろう。
「10代目…自分なんかを心配してくれるんですね…。
感激ッス!いただきます!!」
そんなツナの胸中を知るはずも無く
獄寺は嬉しそうにマフラーを巻き始めた。
「そうだ!10代目!一緒に巻きませんか?
二人でも余る位に長いですしねっ!」
「い、いいよ〜」
「遠慮なさらずっ!ささっ!!」
一つのマフラーに包まって
上機嫌の獄寺と引きずられるようにして歩くツナ。
その姿はまるで犬の散p…
獄寺「恋人同士ッス!!」
―
はじめての『REBORN!』SSは獄ツナvv
一生懸命な獄寺君が大好きです///
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